生活支援相談員の10年の活動を振り返る
菅野一子さん
新地町社会福祉協議会
生活支援相談員
(避難者支援活動年数/9年10ケ月)
Q1:避難者支援に長く携わる上で、大切にしてきたことはなんですか。
初回訪問での不安や緊張感は今でも忘れることはできません。名前も顔も知らない人がいきなり訪問し話しかけても本心を語ることはなく、心の扉を開いてもらえるまでに時間がかかりました。信頼関係を築くのはむずかしいものがあり、訪問するうえで大切にしてきたことは相手の話をよく聞き理解し想像力を働かせること。その人がその人らしい生活ができるよう関係機関と連携しながら必要な支援をしたいと思います。Q2:この10年の活動で印象に残っている出来事を教えてください。
ある男性が仮設住宅に入居したので訪問すると、扉を少し開けあまり印象が良くない返事が返ってきました。気が重くなりましたが、ひとり暮らし男性のため言葉を選びながら訪問を続けました。男性が仮設から被災高齢者共同住宅(以下、高齢者住宅)に移り住んでからも、先入観から訪問時は余計なことを聞かないようにして近隣からの情報をもとに見守りを行っていました。
2019年10月に水害による断水で水道が使えなくなりました。高齢者住宅に入居されている方にはトイレのタンクに水を入れる作業が困難な方もいましたので、家族に連絡し迎えに来てもらうようお話しをさせていただいたた方もいました。近隣にある産直市場の方のご厚意で、給水タンクを車に積んで住宅内に水を配布してくれることになり、入居者一人一人に声掛けした際にあの男性にも声を掛けました。すると「病院に行く日なので水をお願いしたい」とポリタンクを玄関前に準備してくれました。生活支援相談員と話をしてくれたことに嬉しさを感じました。勇気をもって声掛けして良かったと思いました。
この出来事がきっかけになり男性に対しての見方が変わり声掛けをしやすくなりました。先入観で物事を判断してはいけないのだと思いました。