震災から10年、
これまでの支援とこれからの支援について
広野町社会福祉協議会
事務局長 松本貴文さん
Q1:これまではどのような事に留意して避難者支援活動を行ってきましたか。
震災直後、多くの町民が県内外へ避難し、慣れない環境での生活不安や健康不安を持っていることから、町からの生活情報の提供を行い健康相談があった際には町保健師等に繋ぎました。また、引きこもりによる孤立や孤独化を防ぎ心の支え合いと不安解消をはかるため町民同士が関わり合う社協サロンを開催し沢山のコミュニティーづくりに努めました。平成24年3月31日町長発令の避難指示が解除となり、多くの町民が帰町を始めたことから、「帰って来て良かった。」と思えるよう町内各地区で人と人との支え合いを図るため、行政区ごとに「地区の集い」を開催し、相談員による参加の呼び掛けをとおし、地域での支え合いの基盤づくりに重点を置きました。
今日まで、殆どの町民が帰町し、「地区の集い」は更に参加者も増え、町民自らが自発的に企画から実施まで行うようになりました。また、訪問活動も民生委員との同行訪問を必要に応じて実施するなど充実した内容になっています。
Q2:生活支援相談員が果たしてきた役割をどのように感じていますか。
訪問時に高齢者の様々なお話を傾聴し様々な情報を提供し、健康状態によっては必要とする関係機関に繋ぐことなど、高齢者にとって安心と健康維持のための大切な役割を果たしてきました。また、震災後中断されていた行政区ごとの「地区の集い」を再度立ち上げ、町民の交流の場を設定し地域のコミュニティーづくりをしてきたことは、人と人が心ふれあい支え合う絆づくりに大切な役割を果たしています。
更には、本年2月13日の地震に伴い、全独居高齢者の安否確認をしたことは、災害時の危険回避や生命維持に役立っていると考えます。
このように生活支援相談員が果たしてきた役割は、高齢者が生活していく上での安心や心の支えに繋がっていると感じています。
〇今後の支援について
Q3:今後はどのような事に重点を置き、支援活動を行っていく予定ですか。
町介護保険、医療機関、生活支援相談員及び地域包括支援センターなどで行う地域ケア会議や民生委員の定例会などに参加して情報収集と情報の共有を図るとともに、訪問活動やサロン活動、更には民生委員や消防署員との同行訪問を継続して行うなど関係機関と連携を図りながら地域による見守り活動をするなど途切れない支援を行います。また、新型コロナウイルス感染症に関する生活不安等、新たな生活不安が増している中、正しい情報の提供をするとともに、高齢者の主訴をこれまで以上に傾聴するとともに、孤立をさせない孤独にしないために訪問だけでなく電話による声掛けも行っていきます。
Q4:生活支援相談員の今後の役割についてはどのように考えていますか。
訪問活動は、高齢者の声を聴し、必要な情報を提供して生活不安を解消することや心身機能が低下している高齢者には介護予防事業や町保健師等に繋ぎ、健康不安を解消することが必要であると考えます。サロン活動は、地域の学校や民間組織などと連携を図り誰もが気軽に参加できる内容を企画し、みんなが笑顔で楽しく過ごせるような交流の場をつくること。
地区の集いにおいても警察官、消防署員、町保健師、高校生や大学生などを招いての交流を企画し、新たな出会いや楽しい話題等見つけ親睦を深めることができるようにすること。また、どうしても引きこもってしまう高齢者には、様々な機関と連携し、家庭においてもできる趣味等の紹介をするなど、少しでも前向きな生き方が出来るように支援することが必要であると考えます。
まとめに生活支援相談員の今後の役割は、自己のスキルアップを図り様々な機関と連携して高齢者が「健康で生きがいのもてる生活が送れるよう」支援することだと考えています。