「毎年この活動をしているが、未だかつてここまで出来たことはなかった。今回は消防署が思い描いていたとおりの活動が出来た。生活支援相談員さんの働きのお陰だ。」南相馬市消防署小高分署の職員は、《防火ふれあい訪問》の終了後に感想を話してくれた。
平成31年3月初め、南相馬市小高区では消防署が主催する火災予防運動が行われていた。避難指示が解除になったものの帰還した住民は高齢者が多いため、消防署では火災予防には特に気を配っていた。しかし火災報知器や防災無線の点検・設置の説明のため住民宅を訪問することに対し、住民の受け入れは芳しくなかった。
そこで消防署は南相馬市に住民へのつなぎを相談したところ、市からは南相馬市社協を紹介され、生活支援相談員が《防火ふれあい訪問》に全面的に協力することになった。
南相馬市社協生活支援相談員の境原さんは、消防署の活動の意図と避難者の現在の状況を見定め、訪問先の選定、訪問ルートなどの具体的な段取りと訪問当日の同行まで行い、消防署と住民のつなぎ役となった。訪問当日は、消防署員のほかに警察署員、小高区婦人消防団員、民生委員も加わり7名での訪問となった。大人数の訪問に住民は玄関先で戸惑っていたが、生活支援相談員の境原さんの顔を見つけるとほっと安堵し、約30分間の訪問中も終始機嫌が良かった。2日間で予定した10軒の訪問を無事に終え、火災報知器の電池交換をはじめ、新規に火災報知器1件、防災無線2件を設置することになった。
後日「消防署や住民との日程調整などご苦労があったのではないですか」と話を向けると、「日頃の活動として当たり前のことをしただけです。高齢者が安心して毎日を過ごすために火災予防を意識するきっかけになったことが良かったです。」と話す境原さんのはにかんだ表情がとても頼もしく思えた。
総括生活支援員 渡辺 稔之