社会福祉法人 福島県社会福祉協議会 避難者生活支援・相談センター

二本松市社会福祉協議会

2018/05/23
 

地域住民と避難者をつなぐ架け橋に!避難先社協の取り組み


テーマ 避難者と地域住民の交流
社協名 二本松市社会福祉協議会
時 期 H29年夏~現在

【背景】

  • 二本松市内に原発事故による避難者向けの仮設住宅が整備されたことから、H23年10月二本松市社協は生活支援相談員を配置し、避難者支援をスタートした。
  • 近年、復興公営住宅や避難先で購入した住宅に移り住んだ避難者が、地域に馴染めず孤立したり、閉じこもりがちになるケースが増えている。二本松市社協はH29年度より、地域の社協である強みを生かして避難者と地域住民の交流支援に取り組んでいる。
  • 避難者の中には、地域住民と交流したい気持ちがあっても、避難を負い目に感じて積極的に交流できずにいる方もいるため、避難者向けのサロン「こっ茶(ちゃ)こっせ」(月1回実施)を交流の場にして地域との交流を促す計画を立てた。


【取り組み】

step1 地域の高校生を巻き込んで「夏祭り」を盛り上げる

  • H29年、8月のサロンで「夏祭り」を行うことにした。地域住民との交流を目的としたイベントは初の開催となるので、打ち解けやすいよう大人ではなく子どもや学生との交流を入り口にしようと考え、今回は日頃からサロンに足を運んでいた地域の高校生※に声を掛け、準備と運営を手伝ってもらった。
    ※二本松市社協は福祉教育に取り組んでおり、ボランティアセンターには約100名の学生がボランティア登録。一部の学生が年に数回、「こっ茶(ちゃ)こっせ」に参加している。
  • 地元の県立安達高校の家政部と美術部が中心となりプログラムや飾りづくりに協力してくれた。部に所属していない生徒も加わり、約70名が準備に携わった。当日も20名が参加し、家政部の生徒がファッションショーを披露した。さらに地域の障がい者施設やデイサービスの利用者がダンスの披露やお菓子販売などで参加してくれることになり、一緒に夏祭りを楽しんだ。


写真1:家政部は自分たちでデザイン・制作した服でファッションショーを披露した


写真2:美術部はチラシや会場に飾る提灯などを作成


step2 地域で活動をする人と「クリスマス会」で交流

  • 地域のボランティアサークル、サロンの運営者、地区社協の方を招いてクリスマス会を行った。避難者の中には周囲の心ない言動によって辛い経験をした方もいるため、対人援助に慣れていて、避難者の状況にもある程度理解がある方を招くことで、安心して参加できる環境を作った。さらに地元の県立安達東高校の生徒も参加し会を盛り上げてくれた。

写真3:ボランティアサークル(左) 安達東高校の生徒から手作りプレゼント(右)


step3 個人と個人、地域と地域の交流へ

①交流会で知り合った地域の住民と趣味を楽しんだり、お茶のみ友だちになるなど、社協の支援を離れて個人的な付き合いに発展している。
②個人間の交流だけではなく、復興公営住宅の自治会が地域の住民を招待して交流会を開きたいと考えるなど、自主的に地域との交流を模索し始めている。社協は必要に応じた後方支援をしている。
③人付き合いは得意な方、そうでない方がいるので、個々に合った交流の形が見つけられるように、今後も社協がさまざまな交流の場をつくっていく。


【工夫】

  • 交流会を成功させるだけでなく、参加者が交流の楽しさを忘れないうちに次につなげることが重要だと考え、クリスマス会を実施した。今後はさらに交流会の回数を増やしたいと考えている。
  • 1回目と2回目の交流会では関わる地域住民を変え、学生や地域で福祉活動をする人などさまざまな立場の人と交流できる機会を作った。
  • 参加者同士がすぐに打ち解けられるよう席順を工夫した。参加者の日頃の活動や本人の性格、趣味などを考慮して、気が合いそうな方と同席になるようにした。


【効果】

  • 初めは緊張気味だった避難者も、徐々に地域の方と会話が出来て穏やかな表情に変わっていった。地域住民と交流できたことで、地域に受け入れられているという安心感を覚えることができたようだ。
  • 行政や社協には提供できない地域の情報を得ることができたようで、参加者からは「近所のスーパーの特売日や、何がどこに売っているかなど、ちょっとした地域の話ができて楽しかった」という声が聞かれた。
  • 交流会の準備や運営を手伝ってもらうことで、地域の高校生が避難者と直に接する機会や避難者について考える時間ができた。そして、地域住民と避難者が交流を持つことは同じ地域で安心して暮らすために必要なことだと理解してもらうことができた。

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