みなさん、こんにちは
福島市のアマチュア劇団「劇団120○EN(ひゃくにじゅうえん)」代表の清野和也です。
3月11日が巡ってくるたびに、2011年のことを思い出します。7年間、心を寄せてくださり、本当にありがとうございます。
東日本大震災のあったあの時、私は福島大学の演劇サークルの公演中でした。激しい揺れの中、お客さまと避難階段を駆け下りました。外に出ると、空からは雪。和服の舞台衣装のままの私たちに、お客さまがコートを貸してくださいました。温かさが身にしみました。その日の晩は、仲間たちと身を寄せ合い、幕が下りなかった芝居の台詞を言い合いました。ネットが繋がるようになり、世界中からのメッセージをみんなで見合って涙しました。忘れられない「支え合う」という言葉の意味を実感した日々でした。
震災の翌月の4月に、その時のメンバーと劇団を旗揚げします。きっかけは市民の方からの「演劇が観たい」という言葉。どんなに不安な中でも、演劇や芸術は力になるのだと、気付かされた言葉でした。そして、当時の僕らにとっても演劇を創り届けることが、生きる意味になっていました。
その時に旗揚げした劇団も7年目になります。学生だったメンバーも社会人となり、新しいメンバーも加わり、「この福島の街だからこそ観る意味のある演劇」を探し始めました。たどり着いたのは、自分たちの住む福島市の歴史や、民話などを題材にした創作劇です。劇場を出たすぐあとに題材にした山や川があり、風に吹かれることができる、過去と現在を繋げる作品を目指しています。
いま、福島では若者による演劇などの表現活動が盛んになっています。高校生も、「自分の想いを表現したい」と自主的に劇団をつくり、優れた舞台を重ねています。
支え続けてくださる皆さんへのご恩は、彼らへの恩送りにもしたいと思っています。これから出てくる福島の優れた表現者が育っていけるように、この街に、演劇や舞台芸術の文化を創り上げていきます。
プロフィール
清野和也(せいのかずや)
1990年1月30日山形県東根市生まれ、28歳。高校演劇部から脚本創作をはじめる。日本劇作家協会東北支部主催「とうほく劇の陣」で3位入賞。福島市政110周年記念行事のアトラクションで、和合亮一氏のプロデュースのもと演出をつとめる。「劇団120○EN(ひゃくにじゅうえん)」代表・脚本・演出家。福島演劇鑑賞会事務局次長。
http://120en.com/about/