社会福祉法人 福島県社会福祉協議会 避難者生活支援・相談センター

Vol.12 渡辺未来(建築士会福島支部松川事務所 除染プロジェクト所属)

2014/03/26
 

みなさん、おばんです。

しぶとく残っていた雪も融け、やわらかい風を感じる季節になってきました。
春の匂いがしてくると、出かけたくなりますね。

私の出身地福島市は、吾妻山の雪うさぎや花見山の花々などが春の訪れを知らせてくれます。この春の知らせを受けるのは、福島市へ戻ってきてから2度目になります。
4年程前に上京し、震災当時も私は東京にいました。悪い夢でも見ているようなニュースがとても悲しかったのを思い出します。
しかし同時に、生まれてから当たり前に過ごしてきた福島のことを考える時間も増えました。「小さいころはどこに遊びに行ったっけか?」「ばあちゃんは畑で何作ってたっけか?」そんなことを考えている私の頭の中は楽しい思い出であふれていたと思います。

去年、福島市へ帰ってきてから私は除染作業の監理、事務の仕事をしています。
除染関連の仕事は、今の福島の現状と真正面から向き合うものであり、仕事をする中で悲観的になったりすることも多くあります。どう考えてもやはり放射線はとても厄介なものです。思いもよらぬ場所から高い数値が出たりすることもあるし、原発事故当時と今とでは潜んでいる場所も変わっているのです。例えば木の根元です。もし子どもたちが遊んでいる周りに高線量の場所があったりしたらとても不安ですよね。住民のみなさんを安心させることも大切な仕事ですが、自分自身しっかり学んできちんと怖さを伝えることも重要な役割だと思っています。「影響はありません」「大丈夫です」そんな聞き飽きた言葉でみなさんが納得できるはずはないのですから。この仕事をしているおかげで福島の人と話をすることが多くなりました。最近は前向きな声を聞くこともあり、未来の福島を感じることも増えてきました。

仕事が休みの日に、イベントで福島産のはちみつのお店を出店するなどの活動も始めました。福島はたくさんのうまいもの、それを求める人がたくさんいらっしゃいます。
また、私は馬が大好きなので福島競馬場へよく出かけます。福島の山、森、青空に包まれながら大好きな馬が走る姿を見ると(たとえ負けても笑)気持ちまで晴れ晴れとしてきます。
福島に戻って2年。今の福島を肌で感じ取れる自分がいます。季節を間近で感じられる福島。美味しいものがたくさんある福島。人のつながりが濃い福島。大変な今をみんなで乗り越えようとしている福島。
今の福島もこれからの福島も受け止めて、胸を張ってみんなに伝えていきたいです。
ぜひみなさん、福島に足を運んでくださいね!


渡辺 未来 (わたなべ みく)
平成元年3月9日 福島市生まれ
宮城調理専門学校卒業後、イタリアンレストラン・カフェベーカリーで働く。2年前に帰福。


IMG_花見山にて(向かって左)

花見山にて(向かって左)


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