楢葉町社会福祉協議会(以下 楢葉町社協)は、今年度から避難者地域支援コーディネーターを1人配置し地域支援に向けて活動が始まりました。当社協には既に生活支援コーディネーターが配置されており、帰還された方々(公営住宅を含む)と地域の懸け橋、或いは個々の重層的な課題を地域の視点から解決策を模索していく取り組み等が積極的に行われています。その為に、当避難者地域支援コーディネーターは、主にいわき市の復興公営住宅とその住人・地域への支援になります。
とはいえ、連携している他の社協が、いわき市内に支所を構え活動出来ているのに対し楢葉町社協は支所がありません。その為、毎回楢葉町からいわき市内の団地訪問をせざるを得ない状況上、現在のところコーディネーターとして復興公営住宅団地担当を持たず、「いわき見守り連携」としての各団地訪問、および連携会議への出席による他コーディネーターとの連携や協働が主な取り組みになります。
訪問を行っている中で「地域福祉支援」に向けての工夫や「避難者地域支援コーディネーター」の在り方等についての思い等、幾つかまとめて今回の報告にしたいと思います。
- (1)「避難者地域支援コーディネーター」として、何を何処から始めたらいいのか・・?という悩みがあり、団地周辺の「地域」ばかりに目が行きがちでした。そのような中、コミュニティーソーシャルワークは「個々の課題の発見・掘り起こし」から始め、課題解決を地域という支援で捉えなおしていく・・・という研修での学びが、焦点を何処にあてていくかを明確にさせてもらえた感じがしています。それだけに、日ごろの個別訪問とそのアセスメントがとても大切だと痛感しています。
- (2)一方、避難者地域支援コーディネーターとして団地の住人の方々が持つ課題を聞かせてもらうまでには、まだまだ時間や関りが必要に感じます。楢葉町からの訪問も月に数回に留まる中で、どこまで信頼関係を築けているだろうという思いが否めません。いつも団地内に居るわけではないにも関わらず、心をひらいて抱えている課題を話せる相手になるにはどうしたら良いのか・・更なるいろいろな工夫が求められているように感じます。現在、団地内を訪問時には、意識して出会う方々に声掛けするように心がけ、徐々に住人の理解が増えてきているように感じています。
- (3)各団地には、各コーディネーターの他に各社協の生活支援相談員も訪問に訪れています。コーディネーターより生活支援相談員の方が関わってきた時間は長く、その分住人の思いや悩み・課題等を聞く機会も多いかもしれません。しかし、そこで吸い上げた課題が、団地を担当しているコーディネーターに十分に届くような流れを作り上げていく必要性を感じています。しかも、一つの団地を6社協が別々に訪問していますので、社協を超えたソーシャルサポートネットワークを探っていく事が、団地担当のコーディネーターの働きに大きく左右するのではないかと考えます。その為に、社協間で行う情報の共有を大事にし、今後も意識していきたいと考えています。
- (4)また、訪問時には他の町出身の住人への声かけも積極的にしています。同じフロアー同志で見守り意識を高められるように、また同じ団地内同士での見守りが少しずつでも広がっていくように、団地という「地域」の中で支えあえる仕組みづくりにつながって行けるのを期待しながら。
- (5)最後に、社協の職員として「地域支援」の意識が生まれて来ましたが、実際公営住宅に住んでいる住人の方々にとって「地域」への関心がどこまであるのでしょう。実際には、団地住人とその地域との間には様々な垣根が横たわっていて互いを必要と感じられているか? 私たちだけではなく、地域住人、団地住人にとっても互いを必要とする関係が今後、大切になって行くという意識を生み出していける説明や勉強会・或いは日ごろの少しの工夫が必要になってきているように感じます。
避難者地域支援コーディネーター 宇根 節