かつて「40代を後悔しない50のリスト」という本を読みました。筆者は、自分の体験や人生経験豊かな多くの先人たちが、後に悔いていることを取り上げており、その最後の50項目に「もっと【地域社会】と付き合えばよかった」と書いています。
本書を初めて読んだ数年前は、筆者が語る「付き合えばよかった」について、正直あまりしっくりきませんでした。もともと田舎育ちの私には「地縁」というものが、幼少期からあまりにも身近なものでしたし、今思い返せば、近所の血縁関係のないおじいちゃんおばあちゃんが運動会に応援に来てくれたり、温泉に連れていってくれたり… ライフステージの移行期においては、お祝いなどをいただくこともしばしばありました。そんな私にとって【地域社会】というのは「煩わしく面倒なもの」などのネガティブなイメージもなく、特に意識して考えたこともありませんでした。
その後、現在の職務に就き「避難者生活支援」という業務に携わりながら、避難者の方々が新しい環境や地域に馴染めず暮らす現状や、各市町村社協や各関係機関の方々が、避難者の皆さんが以前と変わらぬ安定した日常生活を取り戻すためにと、日々取り組む姿を見ながら、多岐にわたり【地域社会】には様々な課題があること知りました。また、社会や地域との結びつきにおいて、人は日々のあらゆる場面において、常に誰かとつながり助け合って生きているということも身に染みて感じています。
もし、この職務に就いていなかったら… 高齢化が急速に進む日々の中で私は、まだまだ先のことと【地域社会】に関心を持つこともなかったかもしれません。そして、これから先も年齢を重ねていっても「誰かが、何とかしてくれるだろう」と安易に考え、いつか自分も高齢者になるのだから、支える側と支えられる側の準備はしなくてはならないなどとは考えもせず何となく過ごしていたかもしれないと、ふいに読み返して思いました。
生まれ育った地域では、日常過ぎて気にも留めなかった、程よい距離でおせっかいができる関係性を、私もこれから先自分の住んでいる地域で、少しでも構築できたら良いなと思います。幼い頃、誰にでも自然に「おはようございます」「さようなら」が言えていたように… 挨拶だけではなく会話を楽しんだり、少しの変化に気づき合えたり、そして人との縁を大切にして「共助」を意識し、豊かで暮らしやすい地域生活に繋げていきたいと思う、今日この頃です。
総括生活支援員 安齋裕美子