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浪江町社会福祉協議会「ボランティアをボランティアする」

浪江町社協は生活支援相談員19名で訪問・見守り・相談活動をしています。訪問時の会話を通して日頃の生活の様子のみならず「町民のその人らしさ」を感じさせるような話を聞くことが出来るそうです。

今回は主任生活支援員の井上眞里さんに、浪江町民の思わず心が温かくなるようなエピソードについてお聞きしました。


Q1 : 現在避難先における生活支援相談員の主な活動内容について、教えてください。

井上さん
避難者の生活状況全般を踏まえての見守り訪問や、地元の人との繋がりを持っていただける様に思いを込めてサロン活動を行っています。
例えば、浪江町民のほかにも地元住民をお呼びして合同での料理教室を開催しています。




Q2 : 避難生活から7年9カ月が経過しましたが、避難先で暮らす浪江町民の生活はどのように変わってきていますか。

井上さん
持家再建された方、復興住宅に転居された方、仮設に今もお住まいになっている方など住居形態はさまざまですが、年齢に関係なく前を向いて歩いている方がいる一方で、地域になじめず何度も転居された方もいます。ナイーブな性格の方のお話を伺うと心が痛みますが、その辛さに寄り添うことで心の支えになればと思います。




Q3 : 町民の生活の変化に伴って、生活支援相談員の皆さんの支援はどのように対応してきましたか。

井上さん
以前は要望の分だけ支援をさせて頂きたいとの思いが生活支援相談員全員にありました。しかし、手助けしてしまうと本人のやる気を摘み、自立の妨げになってしまうので、緊急時以外は距離をおいて、傾聴と助言をする事にしました。




Q4 : 思わず微笑んでしまうような町民のエピソードがあれば教えてください。

井上さん
以前大学生が「いるだけ支援」という活動をしていました。大学生が仮設住宅に住み避難者と生活を共にして寄り添うというボランティア活動でした。
ある時、同じ仮設住宅に住む普段は感情を表に出さない高齢女性たちが、学生さんにおかずを差入れたり、風邪をひいていた様だから薬を持っていったり、部屋まで様子を見に行ったりとお世話をやいていたと聞いたことがあります。誰もお願いはしていないのですが、離れて暮らす自分の孫と重ねていたのか、自分の役割と思っていたのか、「人様の大事なお子さんを預かっているので」と、全員が話していました。
とても微笑ましい光景で、ボランティアで支援に来ている人を逆にボランティアしているようでした。



仮設住宅での認知症サポーター養成講座の様子


Q5 : その他に、町民のその人らしさを感じるようなエピソードはありますか。

井上さん
自分達の事で恐縮ですが、仮設の一室を事務所に借りていたことがありました。入居者が少ない事や郊外だったため、仮設住宅周辺の草むしりを週一回自分達でしていましたが、容易なことではありませんでした。
草が生えないのは自分達が草むしりをしているからと私たちは思っていましたが、実際には入居者男性が定期的に除草剤を散布して下さっていました。このことが草が生えない大きな理由だったと知ったのは随分後のことです。この方は雪の降る日は相談員が歩く通路の雪かきなどもして下さいました。お礼を相談員全員で言いに行きましたが本人は最後まで知らないふりをしていました。仮設入居者の間では変わり者のレッテルを貼られていた男性でしたが、「自分が自分が」の時代に、見返りを求めない、昔の日本人の奥ゆかしさを教えていただいた気がします。






Q6 : なぜ、町民はこのようなエピソードを生活支援相談員に話されたのですか。

井上さん
会話をしている中で自然と話されました。自分も人の役に立てる事が、うれしかったのでしょうね。




Q7 : これからの町民の生活支援の方向性について教えてください。

井上さん
帰町された方も新天地で暮らす方も、なるべく震災前の日常を取り戻せればいいですね。簡単には行きませんが…。




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