サイトアイコン 福島県避難者生活支援・相談センター

心の健康を保つために・・・

●休養をとることも仕事のうち
災害の後、十分な休養をとらず、ずっと走り続けている方が大勢いらっしゃるのではないでしょうか。
不眠不休での対応が迫られる中、休みをとることは現実的に無理とおっしゃる方も多いと思います。また「火事場の馬鹿力」という言葉があるように、思いもよらない力が出てきて、休まずともやり続けられそうな気分になっている方もあるでしょう。
しかし、その勢いに任せて走り続けるのはとても危険なことです。人間は、活動を高める方向に働く交感神経と、その逆に心身を休める方向に働く副交感神経があって、この2つの神経が上手にスイッチの切り替えをして健康を保っています。
「休まないでも大丈夫」と感じているのは、交感神経のスイッチが入り続けてしまって、副交感神経がうまく働いていない可能性があり、このままの状態が続くと重篤な健康問題を引き起こす恐れがあります。
こんなことを書いている私自身も、職場の上司や同僚から「休まないとダメ」と言われ、ゴールデンウィークには3連休を頂きました。急に休息状態に入ると1日目はものすごい倦怠感に襲われ、「休まないで働いていた方が調子が良いのに・・・」などと思ってしまいますが、それだけ疲れが溜まっているにも関わらず、その状態に気付くこともできないで走り続けていたともいえます。休養2~3日目になると、体も楽になり、心も穏やかになっていきました。
皆さん、ぜひ職場や家庭内で調整を図り、連続2日以上の休養日を設けてみてください。

●生活に潤いを
毎日の生活の中でホッとできる時間や、震災前の自分を取り戻せる何かを持てていますか?
女性ですと、お肌の手入れをしたり、自分の気に入った洋服を身につけたりすることなどです。
経済的に非常に厳しい状態におかれている方も多く、切り詰めた生活を余儀なくされている中で、「何を言っているの!?」とお叱りの声を受けそうですが、日々の生活の中に自分を潤わせてくれるものを一つでも取り入れることは大切です。震災前に使っていた化粧品のうち化粧水1本でもいいので再購入して使ってみたり、衣替えの季節になってきたので、1枚だけでも自分の好みのTシャツを買ってみるといったこともよいかもしれません。
一見無駄遣いのようでも、心の健康という観点からみると、自分を保つためにとても意味あることになります。

●思いを語ることの効果は大
私は今、福島県立医科大学の心のケアチームの一員として活動し、避難所巡回や家庭訪問などを行っています。
その活動を通して、災害後それぞれの方が体験してきたこと、その体験の中で感じている思いを語ることの大切さを実感しています。居住の場が転々と変わっていったり、にわかに大家族になってしまったりなど、環境が大きく変わったことでのストレスは計りしれません。その辛さを誰かに吐き出すことで、ずいぶんと楽になります。
1時間程度話をされて帰る際には「スッキリしました」「落ち着きました」とおっしゃる方がたくさんいらっしゃいます。
ストレスが溜まっていると感じていらっしゃる方、どうぞお近くの心のケアチームへ気軽に声をかけてください。

福島県立医科大学看護学部 精神看護学担当 大川 貴子

モバイルバージョンを終了