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大玉村社会福祉協議会「避難者の個別ニーズに沿った支援」

大玉村社協の生活支援相談員2名は、原発事故により浜通り地区から避難し村内で生活している156世帯355人を訪問しています。その内訳は6割弱が自宅を再建された世帯、約3割弱が復興公営住宅に住む世帯となっています。

大玉村社協の生活支援相談員は、故郷を離れ慣れない大玉村で生活している避難者を「避難者」ではなく「生活者」という視点で支援に当たっています。

今回は大玉村社協の生活支援相談員の酒井暢子さんと石川理恵さんに支援の考え方や支援現場での工夫している点をお伺いしました。

Q1:大玉村社協では、避難者を「生活者」という概念でとらえているとお聞きしましたが、詳しくお聞かせください。

酒井さん
避難により大玉村に住むことになったことには変わりありませんが、理由は何にせよ大玉村に住む住民として、もともとの住民と分け隔てなく安心した暮らしができるよう支援していくという意味から「避難者」ではなく、生活者であり、大玉村民として接しています。




Q2:自宅再建者や復興公営住宅入居者の中でも、地域への馴染み方や個別の生活課題など個々に差があると分析されていますが、詳しくお聞かせください。

石川さん
地域での行事や、地域サロン、老人クラブやボランティア活動、サークル等の加入や、近隣住民との近所づきあいに無理なく参加し、交流できる方もいればそうでない方もいます。参加できない、又は交流できない方が、悪い、不利益だと位置づけするのではなく、上手に交流できない方の原因や本質(本当は参加したいかもしれない等)を探り、個々に合った地域住民との関係構築、また、社会参加活動ができればと思っています。




Q3:新たに訪問する避難者の個々のニーズを把握するために工夫している点は何ですか?

酒井さん
「避難」に特化して現状を伺うことも大事ですが、村内に引っ越してきての困りごとはないかを伺っています。また、初回訪問時にはその方の状態の見極めを大事にしています。たくさんの質問はしませんが、私たちが小さなことでもなんでも聞いて大丈夫な人間であることをアピールします。





Q4:相談員と避難者の関係性について教えてください。

石川さん
私たちと避難者は近すぎず、遠すぎずの程よい距離感を保ち、何でも相談できる関係性を目指しています。「誰に相談していいかわからなかったのだけど。」と言いながら相談されるときや、「酒井さん、石川さんだから言えるのだけれども」と言われる時は正直嬉しいです。





Q5:避難者と地域をつなぐために地域サロンを活用しているとお聞きしましたが、サロンに参加しない方への声掛けなどのコツを教えてください。

酒井さん
地域交流を目的とし、被災者支援サロンへ地域住民をお誘いする場合があります。地域住民への声掛けには、地域サロンに相談員が出向き直接声掛けをしています。地域サロンに参加していない住民への声掛けは、地域サロン参加者や、民生委員さんを通じて周知を図っています。
サロンに参加しない方へは、その方が地域で孤立してしまっているのかそうでないのかを探り、サロン以外での社会参加や交流がある場合には無理な参加を促したりはしません。孤立している様子がうかがわれる際には、その方の趣向に合った地域資源を探し提供したり、被災者支援サロンの内容をその方の趣向に合わせたりしています。




Q6:大玉村社協は避難先社協としての活動ですが、活動に当たって最も必要な事は何ですか。その理由も教えてください。

石川さん
現在は地域資源の収集が重要と考えています。村内で安心し、楽しく、より以前の暮らしに近づいた生活ができるように支援するにはまず、相談員自身が地域の「人」も含めた地域資源を知らなければ対象者へ的確な情報提供ができないと思っています。



Q7:今後の支援方針や計画についてお聞かせください。

酒井さん・石川さん
今後は支援対象者の以前の暮らしに近づいた生活と、地域住民同士の支え合いの関係構築を重点目標にし、人と人の繋がりを大事にし、支援にあたっていきたいと思います。



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