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富岡町社会福祉協議会「いい塩梅の距離間で支援する」

富岡町は昨年(平成29年)4月1日に避難指示が一部解除され、帰還が始まりました。

8月1日現在516世帯738人の住民が町内で生活をしています。富岡町社協は町内外で活動しており、町内を担当する生活支援相談員5名は、主に高齢者を対象に見守りと相談活動やサロン等の交流事業を通して住民同士の繋がりを支援しています。

今回は、帰町した住民の様子と支援の状況について、生活支援相談員の杉本英二さんにお話を伺いました。


Q1 : 避難指示の一部解除から1年4か月が経過しましたが町内や帰町した住民の方の様子はいかがですか。

杉本さん
生活面)
日用品の買い物などは、町内の国道6号沿いに複合商業施設「さくらモールとみおか」があり、その中にヨークベニマル、ダイユーエイト等が入っており、多くの住民が利用しています。徐々にではありますが、避難前の生活を取り戻している状況です。
高齢者で車がない住民は、デマンドバス(無料送迎バス)、巡回バス、タクシーを移動する足として利用しています。

健康面)
高齢者の多くは高血圧、糖尿病等の持病を持っているので、「とみおか診療所」「富岡中央医院」2か所の診療所へ通院されているか、帰町前に住んでいた避難先の病院へ継続して通院しています。また救急医療病院「ふたば医療センター」が開所(平成30年4月)されたことで、夜間、休日の緊急時対応が可能となり、住民は一安心です。しかし、眼科、整形外科、歯科が町内にないため、不便な状態は続いています。

社会面:ご近所との付き合いなど)
持ち家の方は、近所に戻られた方同士で一緒に散歩、買い物などの外出をされ
ています。
町内の災害公営住宅にお住まいの方で特に高齢者は、お互いに声を掛け合い、一緒に歩いて買い物をしたり、団地内の玄関脇に設置してあるベンチや団地談話室に集まり交流しています。



Q2 : 帰町した住民の方は、どんなことが「帰って来てよかった」と話されていますか。

杉本さん
長年住み慣れた自宅に戻り、避難先で出来なかった畑作業や園芸を再開し、収穫や成長を楽しむという日常生活を取り戻せたことが一番うれしいと言っています。また、畑を持たない住民や災害公営住宅の住民の方も、社協が「富岡町ふれあい農園」の区画を借りて今年度から始めた共同での畑づくり「cha畑やってみ隊」に参加して汗を流し、「生活が充実している」と話しています。



Q3 : 「cha畑やってみ隊」以外に富岡町社協が今年度重点的に支援している内容についてお聞かせ下さい。

杉本さん
町内の高齢化率は約36%になっています。待ちに待って帰ってきた方が元気で暮らして頂くため、60歳以上を対象に介護予防事業「GOGO!とみおか」を心身共に健康を維持してもらう目的で、毎月第3水曜日に開催しています。
ウォーキング教室や栄養改善料理教室の他にも、様々なプログラムを企画し、住民の「通いの場」「健康維持」「住民同士の繋がり」「生きがいづくり」等、多様な視点で介護予防を図っています。
さらに自宅に帰っても健康を意識してもらうために、歩数計を配布し歩数記録表に記録をお願いしています。年間を通じ、歩数記録上位者の表彰も検討しています。
また、交通手段がない住民には送迎サービスを実施し、外出支援もあわせて行っています。




「ウォーキング教室」では、疲れも忘れ笑顔で町内を歩きます。


「栄養改善料理教室」では、栄養士の指導を受け、和気あいあいの雰囲気です。



Q4 : 参加している住民の方は、どんな様子で、どんな感想を話していますか。

杉本さん
各介護予防のプログラム以外にも、保健師さんの「季節の健康講話」が人気があり、多くの質問で会場が盛り上がっています。
大盛況の噂を聞きつけ、川内村、楢葉町、広野町に住む富岡町民も参加され楽しまれています。
介護予防教室で久しぶりの再会を果たした住民の中には、連絡先を交換し震災前同様に交流が再開した話も聞いています。



Q5 : 今後の町内での支援活動方針等をお聞かせください。

杉本さん
毎月帰町される住民が増えています。富岡町社協の郡山支所やいわき支所と連絡を密にして、帰町する住民の情報を把握し、帰町したら出来るだけ早く訪問したいと考えています。
久しぶりに故郷に戻った住民との何気ない会話から、新しい生活課題、興味、関心ごとを聞き出し、帰町したばかりの不安を少しでも減らすことができるようにしたいと思います。
そのために、「笑顔」と「よく聞く姿勢」を心掛け、町民と“いい塩梅の距離間”を保ちつつ支援していきたいと考えています。




生活支援相談員支援相談員 杉本 英二 さん



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