広野町では、H29.3月末仮設住宅等の無償供与期間が終了し、震災前の人口の約8割に当たる4,020人(H29.8月末現在)が帰還されております。帰還した町民には、原発等で働く約3千人の作業員が生活するなどまちに出入りする人や車が増えた事に起因する治安への不安、病院や買い物などの未だ十分とは言えない生活インフラ、また震災を機に一人暮らしや夫婦世帯となった高齢者の悩み、災害住宅等へ入居し住環境が変わられた方の戸惑いなど、帰還した後も多くの問題が発生しております。
今年7月、生活支援相談員が町内の独居高齢者男性(妻及び家族とは絶縁状態)宅へ訪問した際、その男性の容態が急変し救急搬送が必要と思われる状態となりました。しかし本人は救急搬送を断固拒否、その場では妻や家族とも連絡することも出来なかったため、町役場や社協職員も現場に来てもらい本人を説得、役場から家族へ連絡、その結果救急搬送して一命を取りとめるケースがありました。
こうした重要事例などを内部ミーティング(1日2回)で話し合い、相談員間で情報を共有し(「支援員連絡ノート」作成)、また町健康福祉課が中心となり保健センター・地域包括支援センター・社協と合同で会議(月1回)を開催し、情報交換や要援護者に対する課題抽出、今後の支援方法などを話し合い、困難事例が発生した場合でも素早い対応ができるよう連携を図っています。
6年半という避難生活を強いられた町民にとって震災前にはなかった悩みや不安があるように感じます。それらの問題は複雑で生活支援相談員が解決に導くことはなかなかできませんが、傾聴をして関係機関へ繋ぎ、町民が少しでも安心・安全に暮らせるよう努めていきたいと思います。
広野町社会福祉協議会
主任生活支援相談員 根本さと子
主任生活支援相談員 根本さと子