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「有償ボランティア」って?活動に必要な交通費を支給してもらったら「有償」になるのですか?

Q:「有償ボランティア」という言葉も耳にするようになりました。ボランティア活動は金銭的対価をもらわず自発的に行うものなのに、どうしてですか? 活動に必要な交通費を支給してもらったら「有償」になるのですか?


「有償ボランティア」という奇妙な造語が日本のなかで使われ始めたのは1980年代のことです。サポートを必要とする高齢者の家事援助などに少額の謝礼を得て取り組む人々の活動を称して「有償ボランティア」という言葉が登場しました。その当時は、市民活動という言葉も非営利活動という表現も一般的ではありませんでした。もちろん、NPOという概念もまだ紹介されていません。そこで、やむを得ず生まれたのがこの言葉なのです。

この言葉が広がり、使われ続けてきた背景には利用する側と支援する側の双方のニーズがありました。利用する側には、無償の援助に恩恵的なイメージから心苦しさを感じ、多少なりとも対価的な謝金を支払うことで気持ちが楽になるし、利用しやすいという声がありました。一方、支援する側にも、何か他人の役に立つことがしたいがまったくの手弁当では続けるのが難しいので、お小遣い程度のものがいただければ生活の足しにも励みにもなる、という人たちがおり、ニーズが合致したものといえるでしょう。実際、有償で活動する人たちの意識は「労働者」よりも「ボランティア」に近いという調査報告もあります。

しかし、「有償ボランティア」という用語を巡っては当初から厳しい激しい議論がありました。外来語であるボランティアは英米などでは一般的に対価を得ない行為をさします。日本においてもこのことを大切にすべきだという意見は強くあり、この混乱を調整するために全国社会福祉協議会では、1987(昭和62)年に「実費弁償を超えた報酬を得る活動はボランティア活動とは呼ばない」との見解をまとめ、有料サービス、有償ヘルパー、会員制という特徴を持つ在宅ケアグループについては「住民参加型在宅福祉サービス団体」という呼称をつけました。
その後、1993(平成5)年、中央社会福祉審議会地域福祉専門分科会が「ボランティア活動の中長期的な振興方策について」で、互助的、互酬的な有償活動をボランティアの中に位置付ける見解を発表しましたが、現在に至っても活動の場では賛否が分かれているのが実情です。

このような状況をふまえると、「ボランティア活動は無償の活動であり、無償の範囲は活動に伴う経費の実費弁償の範囲である」というのがゆるやかなコンセンサスと思われます。実費弁償の例としては、活動先に赴く交通費、必要な材料費、活動中の食費などです。また、イベントなどの際にTシャツや記念品などをもらったり、継続的な活動者が年に数回食事会に招待されたり、小物をプレゼントされるなど、受け入れ側の感謝の気持ちを受け取ることはボランティア活動の範囲とされています。

ここまで言葉についての解釈や経緯を紹介してきましたが、注意したいのは、“有償ボランティア”という名のもとに、本来労働者として雇用されるべきところを不安定な活動条件のまま安価に使われたり、活動中の事故に遭遇した際に労働者ではないので労災保険がきかない、ボランティアではないのでボランティア保険はきかない、など、まったく補償のない状態におかれることのないように気をつけたいということです。ボランティアを受け入れる団体にとってもリスクの高い活動形態であることを十分承知しておきましょう。



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